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コロナうつ対策(保健管理委員会より)

学生・教職員の皆さまへ

出雲キャンパス保健管理委員会
秦 幸吉、福島 加菜美

 ワクチン接種が進んできましたが、新型コロナによる自粛やオンライン講義、感染への不安、テレビ等の報道に触れることによる漠然とした不安が原因で気分が落ち込む、やる気が出ないなどの症状が出る状態(いわゆる「コロナうつ」)になることはないでしょうか。さらに、不眠や食欲低下、疲れやすいといった身体的な不調が表れるようなことはどうですか。このような「コロナうつ」を防止するにはどうしたらいいかについて書かせていただきます。

1)野菜をしっかり摂る

 野菜にはフィトケミカルという化学成分が含まれています。具体的には、野菜が紫外線や有害物質、害虫などの害から身を守るために作り出した色素や香り、アク、辛味などの成分です。フィトケミカルは抗酸化・抗炎症作用、免疫力向上などの健康によい影響を与えます。オリーブオイルをドレッシング代わりにかけて野菜を食べれば、フィトケミカルの効果はさらにアップします。野菜は、キャベツ、ブロッコリー(スプラウト)、トマト、タマネギ、カボチャ、ニンジンなどがお勧めです。これからトマト、茄子、ゴーヤ、オクラなどの夏野菜が旬を迎えます。色が濃ければ濃いほどフィトケミカルがたくさん含まれています。

2)n-3系多価不飽和脂肪酸を摂る

 n-3系多価不飽和脂肪酸はサバ、ワシ、サケなどの魚に多く含まれている魚由来の油です。n-3系多価不飽和脂肪酸は抗炎症作用を有していて、脳細胞環境を良好に保ち、精神健康状態を安定させます。サバ、ワシ、サケなどは日常では調理するのは面倒ですので、缶詰から摂るようにしたらいいです。

3)精製穀物を控える

 白米、市販の食パン・菓子パン、うどん、パスタなどの精製穀物は糖質を大量に含んでいて、食後急激に上昇した血糖値を下げるために、膵臓から大量にインスリンが分泌され、血糖値が下がりすぎて低血糖(血糖値の乱高下)がおこります。この血糖値の不安定さが精神的健康度悪化を招くことが明らかになっています。自分の血糖値の安定具合を知りたい方はご相談下さい。
 私たちの研究からも大学生における食の乱れが精神健康状態に悪影響を及ぼすことが示されました。穀物摂取を控え、その代わりに、野菜、良質なタンパク質・脂質摂取、とくにn-3系多価脂肪酸摂取を行い、適正体重を維持することが精神健康状態を良好に保つ食事法であると判明しています1-2)。是非、実行して下さい。

4)日の光を浴びて運動する

 ビタミンDには、骨塩量維持、免疫増強をはじめとする様々な健康効果がありますが、うつ状態の改善効果もあります。ビタミンDは日光に当たることで活性化される珍しいビタミンで、皮膚の中にあるコレステロールの一種に、日光の紫外線を浴びることで作ることができます。直射日光を浴び続けることはよくないですが、1日に20分程度、日の光を浴びての早歩きは、ビタミンDを補給と気分転換に最適です。

5)季節の変化に着目する

 このコロナ禍で、気持ちがよどむことがあります。しかし、確実に季節は動いています。新緑の季節に降る雨を緑雨ともいうくらいで、雨後の植物の緑がとても美しく見えます。そして、梅雨が明けると、太陽の光がとてもまぶしくなります。こんな季節の動きを前向きにとらえることも大切です。

6)笑う

 笑って精神を高揚させると、NK細胞という免疫の最前線で機能する細胞の活性が高まります。そのため笑いは最大の免疫力活性薬です。普段から、できるだけ笑うようにすれば、自然と楽しくなり、リラックスできて、ストレスにも対応できるようになります。

7)希望を持つ

 今これが一番必要なことかもしれません。今後、世の中がどうあるか、どう変わっていくか、誰も明らかなことは分かりません。しかし、一人一人が希望を持って、次の社会をどういうふうな社会にしていけばいいかを考えることが、前向きな気持ちを生むと思います。

 ワクチンの接種が進みつつありますが、いまだ新型コロナウイルスは収束が見えないのが現状です。ここに記載しました 1)~7) の一つでもやってみれば、コロナ禍でも楽に生活できると思います。

参考文献
1) 秦 幸吉, 他:大学生における食生活が精神健康状態に及ぼす影響. 島根医学 37: 257-262, 2017
https://www.shimane.med.or.jp/files/original/2018032914201721140078a7e.pdf
2) 秦 幸吉, 他:大学生における食生活が精神健康状態に及ぼす影響-第2報-. 島根医学 39: 74-81, 2019
https://www.shimane.med.or.jp/files/original/20200128144728779bc454b03.pdf