保健管理センター長のひとこと(2016年11月)

21世紀は心の世紀

2016/11/8

 保健管理センター長の一言【21世紀は心の世紀】

 順天堂大学医学部特任教授の奥村 康先生が執筆なされた著書「「まじめ」は寿命を縮める「不良」長寿のすすめ」の中に「21世紀は心の世紀」という言葉があります。その中に「21世紀の医学界は? 身体に気をつけるだけでは無理だということが分かってきて「心の世紀」と言われています。・・・・笑う、怒る、信じるなどの心の動きが、どこまで病気を招いたり、治したりするのか。・・・・20世紀の終わりごろから、心の問題にも科学の光が当たり始め、西洋医学の弱い部分を補完していこうという考え方が広まってきました。」
 10月18日に発売された「ケトン体ががんを消す」(古川健司著)にこんなことが書かれています。大阪にある「患者主体の医療」を提唱・推薦する「e-クリニック」という医療団体が、がんを克服した人々に「何がその一番の要因だったかと思う」についてアンケートを行いました(複数回答ではなく、選択回答)。その結果、圧倒的な1位に「考え方」、続いて「食事」が迫っていて、「医者」は「運」よりも低いレベルだったようです。この結果について古川先生は「「治す主体」はあくまでも患者さんであり、いままでの生き方や考え方、食事を見直したことが、治癒への原動力になったことを雄弁に物語っています。なぜなら、心の在り方(考え方)が、人を行動へと駆り立て、食事療法の継続を可能にさせるからです。」とコメントされています。
 血液検査で白血球の各種類(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)の割合を百分率(%)で表す白血球分画という検査項目があります。ストレスなどで交感神経が緊張すると顆粒球(主に好中球)が増え、逆にリラックス過剰な状態では副交感神経優位となりリンパ球が増えてきます。わかりやすく言えば、ストレス過度の状態ではリンパ球が少なくなり、風邪などのウィルス感染、さらにがんなどに罹りやすくなります。逆にリラックスしすぎると、リンパ球が増えて、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、うつ病などに罹りやすくなります。(リンパ球の比率は35~40%が免疫力で病気を撃退できる安全圏です)。したがって、交感神経、副交感神経のバランスをうまくとることは大切で、やはり、日々の生活で適度な緊張と安らぎは重要であると納得できます。
 以上のようなことから、私は最近では、人間の疾病の発症、予防、回復、増悪に「気持ちの持ち方」も一つの重要な要因ではないかと思うようになりました。日々の忙しい仕事の合間の休日にゆっくり本屋で立ち読みをしたり、ゆめタウンやイオンで気になるワインやビールをチェックしたりすると心がリフレッシュします。先日は、欲しい鞄を東急ハンズで時間をかけて探し、気に入ったのを見つけたときはとても嬉しかったです。野球、サッカー、バスケットで応援しているチームが勝利すると元気になります。神社・仏閣へ参拝すると不思議と心地よくなります。そんなささいな喜び、祈りなどが人間の健康に大きく影響するのではないかとこの頃、つくづく感じるようになりました。

2016年11月8日

参考文献
1) 古川健司著(2016年)「ケトン体ががんを消す」(光文社新書)
2) 安保 徹著(2014年)「安保徹のやさしい解体新書 免疫学からわかる病気のしくみと謎」(実業之日本社)
3) 安保 徹著(2013年)「病気にならない人の免疫の新常識」(永岡書店)
4) 奥村 康著(2009年)「「まじめは寿命を縮める 「不良」長寿のすすめ」(宝島社新書)

kookro1  kokoro2

保健管理センター長のひとこと(2016年)

前月2016/11次月
303112345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930123