「ケトジェニックダイエットへの追い風」


2017/10/16

保健管理センター長の一言【ケトジェニックダイエットへの追い風】

 18カ国の中高年の人々(35~70歳)を長期にわたり(中央値7.4年)追跡し、炭水化物や脂質の摂取量と、総死亡、心血管イベント、心血管死亡などとの関係を調べた結果がLancet誌電子版(2017年8月29日)に報告されました1)。結果を簡単にまとめると以下のようになります。①炭水化物摂取量と全死亡リスク上昇は相関していた。②総脂肪および脂肪の種類別摂取は全死亡リスク低下と相関していた。③総脂肪および脂肪の種類は心血管疾患、心筋梗塞、または心血管疾患の死亡率には関連していない。④飽和脂肪酸は脳卒中と反比例の関連性を有している。現行の世界的ガイドラインは、総エネルギー量に占める脂質由来のエネルギーを30%未満にし、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えて、飽和脂肪酸由来のエネルギーを10%未満にすることを推奨していますが、今回の結果を踏まえてこのガイドラインを再考すべきであると筆者らは結論づけています。また、この結果は日本糖尿病学会が推薦し続けている「炭水化物摂取量は必ず60%摂取し、脂質摂取量を減らしてカロリー制限すべきである」という食事指導に真っ向から反対するものです。私の推奨しているケトジェニックダイエットには、明らかに追い風です。
 そんな中、9月28日に「長友佑都の食事革命」という書籍が出版されました。長友選手は2015年のシーズン、深刻なケガに立て続けに見舞われ、思うようなパフォーマンスを発揮することができなくなりました。このまま何もしなければ、選手生命が終わってしまうかもしれないと危機感を覚えた彼は、自分自身に「佑都、そろそろ革命を起こさないか?」と声をかけました。そこで2016年の春から彼は、それまでとは全く別の食事スタイルにスイッチして「食事革命」を始めました。基本は白い砂糖を断つ(糖質制限)、タンパク質補給術を考える、油について考える、野菜の摂取量を工夫するなどです。ケトジェニックダイエットとよく似ているのには驚きました。2016年7月1日より長友選手の専属シェフは、2010年~2016年まで神奈川県横浜市のイタリア料理店「cucinapinocchio」のシェフであった加藤超也シェフです。加藤さんもケトジェニックダイエットアドバイザーです。
 この本の冒頭に「食べるという営みは、自分が掲げる目標や夢を実現する手助けをしてくれると今では思っている。目標を達成する。夢を叶える。幸せを掴む。最終的にはそういうことに繋がっていくのだと。この本を手にしてくださったみなさまにも、いい食事で幸せになってほしい、と切に願ってやまない。」と書いてあります。食の大切さ・素晴らしさが分かった人でないと言えない言葉です。食を大切にして、健康でありたいと祈り、健康であることに感謝することは大切だと思います。健康であるから、やりたいことができ楽しく暮らせます。私は食事次第で、ほとんどの生活習慣病はかなり予防できると思っています。「長友佑都の食事革命」は生活習慣病予防の参考になると思います。

2017年10月16日

nagasako  

参考文献
1) Dehghan M, et al. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Aug 28. pii: S0140-6736(17)32252-3. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32252-3.