「適度な運動」と「生きがい(心の持ち方)」


2017/8/18

保健管理センター長の一言【適度な運動と生きがい(心の持ち方)】

 アンチエイジングの第一人者で日本ファンクショナルダイエット協会理事長の白澤卓二先生は、健康長寿の秘訣は「食生活」、「適度な運動」、「生きがい(心の持ち方)」であるといつも言っておられます。食生活の重要性については、いつもこのコーナーで書かせてもらっていますので、今回は割愛します。
 先日、「いくつになっても自分で歩ける!「筋トレ」ウォーキング」(能㔟 博著)1)を読みました。それによりますと、人間は加齢とともに筋力(パワー)と持久力(スタミナ)が衰えてきますが、自分の頑張り次第で、何歳からでも筋力と持久力は増やすことができます。能㔟先生の考案された筋トレウォーキングは筋力・持久力アップに効果があることが科学的に立証されています。筋トレウォーキングの実践法については本書を参考にして下さい。
 人間を初めとするほとんどすべての生物の細胞内にミトコンドリアという小器官があります。ミトコンドリアの主要な機能は電子伝達系における酸化的リン酸化によるエネルギーの通貨とよばれているATPの産生です。我々のさまざまな活動に必要なエネルギーのほとんどは、食事から摂取した栄養と呼吸から得られた酸素を使って、ミトコンドリアからATPの形で供給されます。ミトコンドリアは筋肉の中にも存在しますから、筋肉の量が減ると、ミトコンドリアの量も減り、体に必要なエネルギーがうまく産生できなくなります。そうなると、体の中で炎症を引き起こす「炎症性サイトカイン」が分泌されこれが体内を駆け巡り、体のあちこちで慢性炎症の引き金となり、糖尿病、動脈硬化、うつ病・認知症、がんなどの生活習慣病の原因となります。筋トレウォーキングで体の中のエネルギーである筋力と持久力を一気にアップさせれば、寝たきり予防はもちろん、生活習慣病予防、うつの改善、アンチエイジング、がん予防まですべてが解決されるということです。
 本学でも2017秋期ウォーキングプログラムがそのうち始まりますが、本書を参考にされては如何でしょうか。私の推奨しているケトジェニックダイエットもミトコンドリアの量を増やし、人間が元来持つエネルギーシステムを活性化するダイエット法ですが、筋トレウォーキングにも同様の効果があるのには驚きました。
 生きがい(心の持ち方)についてもすこし書かせていただきます。食事に気をつけて、頑張って運動しても、楽しみや生きることの張り合いがなければ、健康長寿ではいられないと思います。自分の好きなことや楽しいことに出会うとわくわくする。小学校の遠足の前日におやつを買いに行くときのような気持ち。大好きなアーティストのコンサートに出かける前の気分。こんなちょっとハイテンションな気持ちを日常的に持ち続けることができれば、精神的な健康を保つことができるのではないかと思います。7月にバスケットボール男子日本代表の元ヘッドコーチで今シーズンから「バンビシャス奈良」のヘッドコーチに就任されたジェリコ・パブリセビッチ氏が松江に来られましたので、お会いしました(写真1)。ジェリコさんは2010年から3シーズン、島根スサノオマジックのヘッドコーチをされましたが、その時から親しくさせていただいています。ジェリコさんはBリーグ(昨シーズンから統一された日本のバスケットボールリーグ)を勝ち抜くための傭兵の秘訣、Bリーグでは通用しないだろうとされていたある帰化選手の活躍の要因、何故今シーズン「バンビシャス奈良」で指揮を執るようになったのかなどの秘話を話され、久しぶりにお会いして楽しく過ごしました。
 9月30日からBリーグ2017-2018シーズンが開幕します。来年5月までの長い戦いです。私は「千葉ジェッツふなばし」というチームのファンクラブに入会していて、今シーズンも「千葉ジェッツふなばし」の戦い方に注目しています。「千葉ジェッツふなばし」は昨シーズンは天皇杯を制しましたが、Bリーグでは、プレーオフ初戦で優勝した「栃木ブレックス」に惜敗しました。今シーズンは、昨シーズンの弱点だったところを補強して2冠を狙っています。また、これからプロ野球もクライマックスシリーズ、日本シリーズと佳境に入っていきます。阪神タイガースのクライマックスシリーズ進出・若きエース藤浪晋太郎の復活はどうか?。スポーツの秋に向かってのささやかな楽しみです。人それぞれ、いろんな楽しみがあると思いますが、私が紹介したようなちょっとハイテンションな気持ちというのはNK細胞の活性化に大切ではないかと思います。

2017年8月18日

shasinn

写真1

参考文献
1) 能㔟 博著(2015年)「いくつになっても自分で歩ける!「筋トレ」ウォーキング」(青春出版社)