保健管理センター長のひとこと(2019年10月)

快復力の素晴らしさ

2019/10/2

 8月終わりに学会で松山に行き、31日の夕方に帰って来ました。帰りの列車の中から寒気を感じ、鼻水が出てきだしました。9月1日の朝になっても改善せず、全身に倦怠感を感じ、熱っぽくなり症状もひどくなってきました。一日中寝てましたが、夜には熱が37度後半になりましたが、この時点でやばいなと気づいていました。2日の朝になっても熱、症状は悪化傾向であったために近くの医院を受診して、点滴(生理食塩水500ml)と投薬をしてもらいました。その夜には熱は38.4度となりましたが、3日の朝には平熱に戻り、近医でもう一度点滴(生理食塩水500ml)をしていただき、その日は家で安静にしていて、4日からは通常通りに勤務しました。3年半ぶりの38度越えとなりました。
 表1は私が風邪などの発熱時に行っていることです。とにかく、糖質は避けることが早期快復への鍵です。何故なら、糖質を摂取するとインスリンが分泌されるため、病から快復しようとしている体の代謝バランスを崩してしまいます。さらに、病原微生物に感染した際にはインフラマソームという炎症性物質が産生されて炎症を助長します。糖質を控えてインスリン分泌を抑えるとケトン体代謝物質であるβ-ヒドロキシ酪酸(β-hydroxybutyric acid, BHB)が産生されます。BHBはインフラマソームを介する炎症を抑制する抗炎症作用を有しています。また、BHBには強い抗酸化作用もありますから快復を手助けしてくれます。豆腐、チーズ、野菜、ヨーグルト(無糖)、ナッツなどは糖質が少ないので風邪などの発熱時には最適な食べ物です。また、ココナッツオイル、オリーブオイルには抗炎症作用、抗酸化作用があります。おかゆ、うどん、スポーツドリンクは糖質含量が多いためNGです。さらに、おかゆ、うどんは消化されにくいことが分かっています。BHBは食事しない、つまり絶食のときが産生されやすいので、食欲がないときは無理に食べようとする必要はないです。このような理由で私は風邪などの発熱時には表1のようにしています。表1の追加として、原則的に薬は飲まない方がいいです。ただ、熱が38度を超える際には抗生物質を熱が37度台に下がるまでは飲んだ方がいいと思います(おそらく1日か2日です)。また、解熱剤も飲んだ方がいいですが、ロキソニンのような非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs, NSAIDs)ではなくカロナール、コカールなどのアセトアミノフェンをお勧めします。
 「9月2日の夜には熱は38.4度となりましたが、3日の朝には平熱に戻りました。」と書いていますが、そんなにすぐに快復するかと思われた方もおられると思います。実は、2日の夜には熱は38.4度でしたが、「体が快復に向かっている。明日の朝には平熱になるな。」と感じていました。物事がいい方向に向かうときは一気に向かいますが、人間の体も病から快復するときは一気に潮が引いていくような感じで楽になります。人間の体の快復力というものはとても不思議ですが、自分の体の状態に日ごろから素直に耳を傾けていると誰もそれを自然に実感できるようになると思います。
 4日の夜にはバスケットBリーグのプレシーズンゲーム、島根スサノオマジック vs 千葉ジェッツの試合(於 三刀屋文化体育館)を観戦しました。そのため、NK細胞の活性化も快復の手助けとなりました。
 万が一、インフルエンザに罹患された際でも、近医で処方される抗インフルエンザ薬などの処方薬を服用する以外は、原則的に表1のようにされたらいいと思います。ただ、インフルエンザワクチン接種は早めにしておいて下さい。

表1
表1

マイケル・パーカー選手のダンク
写真1
マイケル・パーカー選手のダンク

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