フェルメール展at大阪市立美術館


2019/3/1

  保健管理センター長の一言「フェルメール展 at 大阪市立美術館」

 大阪市立美術館で開催されている「フェルメール展」に行きました。昨年、上野の森美術館での「フェルメール展」にも行きましたが、大阪では東京で観られなかった2点が展示されていますし、東京で展示されていたうちの4点がもう一度観られるので行きました。また、東京展同様にオランダのフェルメール同時代の絵画も展示されていました。
 寡作で知られるフェルメール作品は、真贋論争が残る作品を含めても37点しか現存してないです。今回、来日した10点を時代順に紹介します(写真1~10. 1,2,5,7,9,10は大阪展で展示)。フェルメール作品の第一番目と推定される宗教画「マルタとマリアの家のキリスト」、それまで宗教画、物語画に取り組んでいたフェルメールがはじめて描いた風俗画「取り持ち女」、“北の聖母”と言われている代表作の一つである「牛乳を注ぐ女」、男と女の恋の駆け引きの様子を描いたとされる(私にはそうとは思えませんが)「ワイングラス」、オランダの大航海時代・海洋通称国家オランダを象徴するような「リュートを調弦する女」・「真珠の首飾りの女」・「手紙を書く女」、画面の右から光が入る数少ない作品の一つである「赤い帽子の娘」、フェルメール作品の中で最もサスペンス的だと言われている「恋文」、そしてまさに“光の魔術師”としての最盛期に描かれた「手紙を書く婦人と召使い」です。とくに「手紙を書く婦人と召使い」はまじかで観てもいいですが、離れて観ると光の当たり方がとてもリアルで、部屋の中で実際に起こっているありふれた日常生活を垣間見ているような感じでした。今回来日した作品はフェルメールが駆け抜けた約20年間の初期から晩年までの変遷が分かるように選んであり、感心しました。
 今回展示されているオランダのフェルメール同時代の絵画もゆっくり鑑賞しました。もちろんどれもとても素晴らしい作品ばかりだと思います。ある評論家の先生が、「17世紀のオランダ絵画はフェルメール作品だけが特筆に値するものではない。」と見解を述べておられました。僭越ですが、私は「フェルメールは様々な様式を駆使して光の魔術による表現を追求した17世紀オランダ絵画黄金期において最も傑出した画家」ではないかと思います。芸術作品に関して寓話や風刺、教訓など様々な「意味」が付け加えられています。そんなことは後世の人たちが勝手に言ったことであり、芸術作品の鑑賞は謎解きではないはずです。寓話や風刺、教訓などを知れば、作品を理解する助けにはなります。しかし、あくまでも時間をかけてゆっくり描かれている絵と対峙して、楽しむだけでいいのではないかと今回も思いました。もちろん、石原さとみさんがナビゲートする音声ガイドは何度も聞きましたが。
 フェルメールが手がけた風景画は2点しかないとされています。その一つはフェルメールが育ったデルフトの街並みを描いた「小路」で、すでに来日したことがあるようです。もう一つは私が一番観たいフェルメール作品の「デルフトの眺望」です。これは未だ来日していないです。もし、日本公開となれば大騒動になると予想されます。「デルフトの眺望」は鳴門市の大塚国際美術館に展示されていますので、機会があれば行きたいと思っています。「マルタとマリアの家のキリスト」の次に描かれたとされる「聖プラクセディス」は、フェルメール唯一の模写で真偽のほどは定かではないです。最近知ったことですが、驚くことに2015年3月より上野の国立西洋美術館にヨハネス・フェルメール(に帰属)として所蔵されているようです。常設展示ではないですが、たまに展示されているようです。
 大阪は日帰りでも行けますので、時間のあるかたはだまされたと思って行ってみて下さい。鑑賞したあとの爽やかな気分は何とも言えないです。エピジェネティクスにより代謝と長寿に関係した遺伝子がいい方向に発現しているような感じです。F先生、I先生、N先生は東京展に行かれたようです。

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写真1                 写真2                 写真3

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写真1 「マルタとマリアの家のキリスト」
写真2 「取り持ち女」
写真3 「牛乳を注ぐ女」
写真4 「ウイングラス」
写真5 「リュートを調弦する女」
写真6 「真珠の首飾りの女」
写真7 「手紙を書く女」
写真8 「赤い帽子の女」
写真9 「恋文」
写真10 「手紙を書く婦人と召使い」
写真11~14 フェルメール展の点描