保健管理センター長のひとこと(2019年8月)

糖質過剰症候群

2019/8/21

 保健管理センター長の一言【糖質過剰症候群】

 5月22日に「「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因」(清水泰行著)が発刊されました。肥満や糖尿病は、糖質が原因と認知されつつありますが、その他の多くの疾患も、元をたどれば一つの原因につながり、それが糖質の過剰摂取であると指摘されています。清水先生は七千を超える論文を参照しつつ、「糖質過剰症候群」という新しい概念を提唱。裏付けのある形で様々な疾患(糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、がん、脂質異常症、アルツハイマー病、うつ病、骨粗しょう症、片頭痛、非アルコール性脂肪肝、緑内障、白内障、加齢黄斑変性などの眼科疾患、変形性関節症、五十肩、脊柱管狭窄症、サルコペニア、甲状腺機能低下症、不妊症、子宮内膜症、乾癬、ニキビ、脱毛症、逆流性食道炎、難聴、パーキンソン病、前立腺肥大、頻尿……等々)と糖質過剰摂取との関係を説いておられます。
 「1型糖尿病、2型糖尿病に続き、アルツハイマー病を3型糖尿病、緑内障を4型糖尿病と呼んでいる人もいる。では、5型糖尿病はどの病気であろうか?このままいってしまうと100型糖尿病というのも出てきてしまう。それよりも、全てを網羅して、「糖質過剰症候群」とまとめればすっきりする。」「推測ではあるが、糖質過剰摂取が、自己免疫を狂わせてしまったのではないかと考えている。そうだとすると、1型糖尿病も糖質過剰症候群の一つと考えられる。・・・・・そう考えると自己免疫疾患も糖質過剰症候群の一つだと捉えられる。」などと記されています。私は自己免疫疾患の原因は「腸管壁浸漏症候群」(リーキーガット症候群)だと考えていました。自己免疫疾患はインスタント麺、ファーストフード、菓子パン、チップスなど着色剤、防腐剤、酸化防止剤などの食品添加物、化学調味料、安価で粗悪な油、精製穀物が使われている食品が容易に手に入るようになった1970年代から増え始めましたので、糖質過剰摂取、リーキーガット症候群の両方が自己免疫疾患と関連していると考えても納得できます。
 血糖値を上昇させるホルモンは成長ホルモン、コルチゾール、アドレナリン、甲状腺ホルモン、グルカゴンなど複数存在しますが、血糖を下げる役割を担っているのはインスリンだけです。このことは人間の身体は、基本的には血糖が下がることに対してのみ備えていて、血糖が上がることを想定していないと考えられます。したがって、現代のような糖質の多い食生活では、インスリンを酷使してインスリンが過剰に分泌され、インスリン抵抗性となりやすい環境に陥りやすくなっています。そうなると、免疫系・内分泌・神経系のバランスが一気に崩れて肥満、糖尿病だけでなく清水先生が「糖質過剰症候群」として指摘されている様々な疾患のうちのどれかが発症しても不思議ではないと思います。車はサイドブレーキを掛けたまま、アクセルを無理やりふかせば壊れます。私は「糖質過剰症候群」は車で言えばこのような状態が人間の身体で起こっている状態だと考えます。成長ホルモン、コルチゾール、アドレナリン、甲状腺ホルモン、グルカゴンには血糖値を上昇させる以外に様々な機能があります。インスリンにも血糖を下げるだけでなく、いろんな機能があります。神経細胞の構造・機能・生存の維持、神経細胞の保護、微小循環血流の増加による組織の虚血防止、ミトコンドリア機能保全、抗炎症作用など様々です。インスリンの過剰分泌、そしてインスリン抵抗性によるインスリンへの反応低下が出現して、インスリンの本来の機能が低下したときに個々の臓器・組織で特異的な「糖質過剰症候群」(異常)が出現してもおかしくないです。
1)白米、パン、うどん、パスタ、ジャガイモの白物5品は摂らない。玄米、全粒粉パン、そばも摂らない。
2)食事内容は原則食品100g中に含まれる糖質含量が10g以下の食品(肉、魚は該当する)を摂取する。
3)野菜をしっかり摂取する。果物はアボカド以外は原則摂取しない。
4)カロリー制限はしない。食後に空腹感を感じない程度の量を摂取。
5)オリーブオイル大匙1杯以上、ココナッツオイル大匙2杯以上を1日に摂取。
6)飲酒は夕食時に糖質0ビール350ml/day、辛口赤ワイン125~250ml/dayまで。
 これが私が提唱する「糖質過剰症候群」予防のための食事法です。食べてはNGの食品は写真を参考にして下さい(写真で掲載しているビールは糖質0でない普通のビールです)。そんなに難しいことはないので、試してみる価値はあると思います。もちろん、「「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因」と「運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない パーフォーマンスを上げる「糖質制限食事法」」(清水泰行著、2017)を是非、読んでみて下さい。
                    ※参考文献は「「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因」をご覧下さい。

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