保健管理センター長の一言【ウエサクの満月】


2016/6/6

2016/6/6

 GW明けに発熱がありました。発熱以外は喉の腫れ・痛みや関節痛などの症状がないので、おそらくウイルス感染と思われました。そのため、細菌の二次感染を考慮してニューキノロン系の抗生物質であるクラビットと、効くか効かないかわからない程度の解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェン製剤を服用しました。
 炎症に伴う発熱、痛み、腫れ、発赤などは不快な症状ですが、体にとっては治癒へ向かう反応です。この不快な反応こそが体の修復反応そのもので、免疫細胞が体を守ろうとして活動を始め、敵と戦っている証です。強力な解熱鎮痛剤などを使用するとこの不快な症状はすぐに解消しますが、修復反応も止まり、回復が遅れたり、不自然な回復となり、再発する可能性があります1,2)。そのため、効くか効かないかわからない程度の解熱鎮痛剤を気休め程度に服用しました。
 当然、食欲もありませんでした。このような時は、無理に食べてはなりません。これも人間の体の防御反応で、グルコースを体に入れなくなると血中インスリン値が低下して、血中ケトン体(βヒドロキシ酪酸)値が高くなります。このケトン体は抗炎症作用を有していますから、ウイルス感染に対する炎症に効果的で回復を助けてくれます。また、ケトン体にはオートファジーという古くなった細胞を掃除して、細胞を若返らせる作用もあります3)。つまり、発熱したときに食欲がないのは、体が炎症と戦っているのを援護する作用があると考えられます。ここで無理に食べたら、血糖値が上昇してインスリンが分泌されて、インスリンがケトン体産生を抑えます。そのため回復が遅れます。したがって、今回は熱が36度台から38度台を乱高下しているときには、点滴とOS-1で凌ぎました。二日ほどしたら、熱は下がりました。何事でもそうですが、良くなるときは一気に良くなるもので、本当に今回もそうでした。今回、人間の自然治癒力の素晴らしさをあらためて実感しました。
 5月の満月を「ウエサクの満月」といい、見る人にパワーと幸運を与えてくれるとされています4)。写真は5月21日の夜に撮影しました「ウエサクの満月」です。自然を崇拝し、感謝をささげる気持ちが人間に元気を与えてくれるような気がしています。

2016年6月6日

mangetsu

参考文献
1)安保 徹(2013年)「病気にならない人の免疫の新常識」(永岡書店)
2)安保 徹 (2014年)「安保徹のやさしい解体新書 免疫からわかる病気のしくみと謎」(実業之日本社)
3)福田一典(2016年)「やせる!若返る!ケトン体食事法」(株式会社洋泉社)
4) http://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20160520/Menjoy_242191.html

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