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全国大学国語教育学会平成30年度優秀論文賞の受賞について


2019/11/6

島根県立大学人間文化学部地域文化学科の古賀洋一講師が、全国大学国語教育学会平成30年度優秀論文賞を受賞されました。

優秀論文賞受賞 

〇受賞論文
 ・古賀洋一「説明的文章の読みの指導における階層的な論証の理解-中学生への実験授業を通して-」(全国大学国語教育学会編『国語科教育』第84集、2018年、pp.31-39)

〇教員より
 説明的文章とは、簡単に言えば、社会の問題を解決するための行動や考え方を論理的に主張した文章です。評論文、論説文という呼び方の方が馴染みある方も多いかもしれません。
 子どもたちの様子を見ていると、説明的文章は面白くないと感じている人が多いように思います。それは、国語の授業が、文章の組み立てを事細かに分析させ、内容を受け入れさせるだけの受容的な学習に終始しているためです。けれども、説明的文章の本来の読みとは、書き手の考えを吟味しつつ、納得できない部分は納得できないと表明し、新たに自分の考えを立ち上げていくような主体的・創造的営みです。
子どもに説明的文章の面白さを感得させるうえでは、こうした体験を積み重ねさせることが一番大切だと思います。加えて、授業での学びを授業外に広げていくためには、どのような読み方をすればそうした面白さが得られるのかを、子ども自身に実感させることが大切です。
この論文では、中学校の授業で得られたデータをもとに、子どもたちが対話的に文章の理解を深め、読み方に対する有効性を実感していく過程を明らかにしました。授業の実際や子どもの姿に徹底的に寄り添って分析を展開した点が、評価されたのだと思います。
平成29年から30年にかけて、学習指導要領が改訂されました。高校の国語では科目構成にも変更が加えられ、大きな転換期を迎えます。そうした時代を生きる教師と子どもに寄り添い、支え、励まし続けるとともに、新たな国語科授業を切り拓いていけるような研究を、今後も続けていきたいと考えています。

〇受賞理由
 問題設定から仮説の形成に至るまでの先行研究・先行理論の整理の的確さ、実験授業で得られたデータの分析の緻密さ、結論に向けて一貫性ある力強い論の運び、今後に残された研究課題への見通しの明確さなどが受賞理由として挙げられました。

〇全国大学国語教育学会優秀論文賞について
 学会機関誌『国語科教育』に掲載された論文は、国語教育研究の論文の中でも最もステータスの高い論文として評価され、大学等の高等教育機関への就職の際の業績としても、最重要論文として扱われます(学会HPより)。各年度の学会誌に掲載された研究論文、実践論文のなかから、特に優れているもの1本が優秀論文賞に選ばれます。

※電子ジャーナルで公開されています。(J-stage)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokugoka/84/0/84_31/_article/-char/janew_window