客員教授講演会を行いました


2021/12/8

今年度の客員教授講演会では、牧野陽子先生(成城大学名誉教授)に「歌と語りの原風景―ラフカディオ・ハーン『夏の日の夢』と『阿弥陀寺の比丘尼』」としてご講演をいただきました。先生は昨年、『ラフカディオ・ハーンと日本の近代:日本人の〈心〉をみつめて』(新曜社、2020)を上梓されています。英文の美しい朗読を交えてハーンの作品の解釈から、ハーンが出雲地方で見いだした、共有される物語空間についてお話しいただきました。

 本学地域文化学科では、目指す人物像としてラフカディオ・ハーンを掲げており、授業ではさまざまな観点からハーンについての学びを深めることができます。これまで学んできた学生も、大変有益だったというコメントが多くありました。今回、松江までお越しいただく予定でしたが、情勢によりZoomでの講演となりました。このような中で、ご講演を快諾いただきました牧野先生に御礼を申し上げます。

 

 〈学生のコメント(一部要約)〉

ハーンについての学びは、入学以前からしてきました。ですが、その学びを深めるにつれて、ハーンに対するイメージは変わっていっています。今までは、訪れた土地を通して、それをハーンならではの視点で解釈してきたのだと考えていましたが、今回の講義では、それらがハーンの幼少期と深く繋がっていると知りました。

八雲は文章で風景を描く能力が高いと感じた。文章を読んだだけで、舞台となった場所の牧歌的な空間が想像されたからである。日本の風景を描写することを通して地域に共有される記憶を残すことの大切さを教えてもらっているように感じる。

 ・特に、「阿弥陀寺の比丘尼」の話の内容が印象的でした。お豊の物語と嵩山伝説の娘の運命の重なりというところでは、“継続する場、地域社会の記憶の核”という言葉が自分の中でハーンが主張したいキーワードだと考えました。・・・今日の授業で、私の中でのハーンとは、世代や国を超えて、“伝える、繋ぐ”人物だというイメージがとても強くなりました。

 

客員教授講演会