私のオススメ本

第46回 『江戸時代の図書流通』

江戸時代の図書流通図書館司書 北井 由香

   私のオススメ
  
 『江戸時代の図書流通』

   長友千代治著
   思文閣出版 2002年
 
江戸時代には、京・大阪・江戸を中心に出版文化が発達することにより、書物が商品として流通する。流通するということは、それを商売にする本屋ができ、読者が増える。
 読者が増えることで、そのニーズに応えようと様々な種の書物ができる。また、それを売ろうと出版広告もでき始める。この本を読むと、どのように書物が流通していったのか、読者は、どこでそれを入手し、どのように読んだのかを詳しく知ることができる。
 もちろん、このように図書が流通するには、教育が普及していること、相応の都市の発達が必要になるだろう。そういった部分も読み取れて時代の背景も想像できる。私がこの本を読んで図書の流通について知ることができたのは、もちろんのことだが、現在に比べて人々にとって書物が特別なものであったように感じた。
 江戸時代に出版された本を読む機会は、ほとんどないのだが、この機会に人々がどんな本をよく読みどんな本に夢中になったのか、生活に役立てたのかなどを知るのも面白そうだと思った。
 図書の流通だけでなく、人々の暮らしぶりも見えてくる1冊である。

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